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【コラム】SpdとPro どっちが運ゲー?

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ひいら 『更なる高みを目指して』 ひいら (hiera)
【コラム】SpdとPro どっちが運ゲー?
ネットサーフィンをしていると、
スピードバトルは(プロに比べて)運ゲーであるという記述があったのですが、
実際のところどうなんでしょう?

 以下、カードヒーローと運の要素についての考察です。
ただし、ルール・カードプール等は特に断りがない限り
高速(DS)版のレア度8なしを前提とします。

運の要素その1
ドロー順序

 カードヒーローはカードゲームですから、
勝負の成り行きがカードのドロー順に影響を受けるのは必然といえます。
そしてその偶然性によって生まれた多彩な場面の変化に対応できるかどうか、
というスキルを比べあうことがカードゲームの本質の一つなのかもしれません。

 ではカードヒーローはドロー順にどれほどまでの影響を受けるのでしょうか。
スピードバトルは、デッキの構築によって初手から終盤にまでかけて
事故が起こる確率を限りなく小さくすることができるルールです。
ただし、特定の状況に対処できるモンスターをドローできるかどうかや、
スーパーカードを登場させることができるかどうかといった点では
この影響は無視できません。
(しかしながらスーパーを使わなければそういった状況になることは非常に稀ですが)

 プロルールは、比較的ドローに対しては柔軟な対応ができるルールです。
モンスターは大同小異。
前衛、後衛のタイプさえ揃っていれば多少の違いはあっても
果たす役目はそうそう変わらないからです。
(実際はその小さな違いから生まれる隙を突き合うのがこのルールの醍醐味だったり)
とはいえ、特定の場面で引いているか否かで勝敗を分かつようなカード
(例:ドロー5、黄昏の風、など)があることも確かであり、
ドローの影響がないとは言い切れません。
また、スピードはデッキ構築によって事故が起こるのをほぼ0にできるのに対して、
プロルールではどんなにデッキ構築の段階で策を練っても、
極端なカードの偏りが出てしまうことは防げないという差はあります。

 個人的な意見としてまとめると、
カードヒーローは比較的ドロー順の影響を受けにくい
(だからこそ実力が反映される度合いが大きい)
カードゲームだが、どちらかと言えばプロルールの方がドロー順の影響は受けやすい、
と考えます。
ただし、実力が一定以上ある場合、手の紛れが少ないスピードバトルでは
予定調和な展開=ドロー順によって定められた手順
に終始してしまうという危険性を孕んでいます。

運の要素その2
コイントス(手番)

 次に挙げられる要素としては先攻、後攻の差があります。
DS版発売当初、スピードは先攻ゲーと言われていましたが、
実際はそんなことはありません。
後攻になると勝てない、という方はデッキにボムゾウを入れていますか?
後攻時にボムゾウを前衛にセットし、
(そして相手のレベルアップの餌にならないようにHPを調節して消えれば)
先攻の有利はほとんど解消されてしまいます。
もちろんスピードバトルには初手の引き直しがなく、
確実に初手にボムゾウがあるとは限らないので、
(デッキにボムゾウを2枚入れている場合、
 ボムゾウを最初の3枚で引かない確率は46%程度)
必ず後攻時に理想的な捌き方ができるとは限りませんが、
これだけで後攻時の勝率は大幅に上がるはずです。

 プロルールにも先攻の有利を打ち消すカードが存在します。
ヤミーです。バトル開始直後の展開上、先に石を奪えるからです。
デッキに3枚入れたカードが最初の6枚に来ない確率は約50%で、
引き直しができるプロルールではさらにヤミーを引ける確率は高まり、
単純計算では7割を超えます。
ですが、スピードはボムゾウただ1枚さえ引けばいいのに対して、
プロルールではその他のモンスターを引いている必要があるだとか、
(ヤミーの反対側の前衛モンスターと、後ろを担う後衛か中衛モンスター)
ヤミーの対岸にデスシープやマストキルモンスターが出ていないだとか、
いろいろと制約がかかります。
そのため、実際には後攻時にうまく石を奪える形になる確率はかなり低く、
個人的な感覚ではどれだけ高く見積もっても4割には到底満たないと考えます。

 未だにプロルールは先攻ゲーと言われていることからも、
プロルールの方が多分にコイントスの影響を受けると考えます。
(プロルールの方が先攻ゲーになりやすい)

運の要素その3
ランダムカード

 レベルチェンジのアップorダウン、プラストーンの増加ストーン数など、
使ってみるまで効果が確定的にはわからないカード、それがランダムカードです。
まず、ランダムカードがゲームに影響してくるかは、
ランダム系特有の予測不可能性を差し引いても
使うだけの価値があるカードが存在しているかどうかが問題になります。

 スピードバトルではディンがこの範疇に入る可能性があります。
しかし、カスタムでの実戦経験をもとに考えると、
DS版でディンが強かったのはデスチェーンの影響ではなく、
墓荒らしが強かったのではないかと考えられます。
ディンを使わずとも墓荒らしを組み込んだデッキはそれだけで強いのです。
とはいえ、墓荒らしを有効活用する手段の一つとしてディンがいることも確かで、
デスチェーンで飛び火するダメージ次第で
勝負が決まってしまうことは少なからずありそうです。
ちなみにスピードカスタムはキノコゲーであることは火を見るよりも明らか。

 プロルールではオクトロスが頭ひとつ抜きんでています。
似たようなカードにケントゥリアスもありますが
これと比べてもオクトロスはLv1のHPが1低いだけで
マイナスの場合の対処のし易さが格段に違います。
また、半壊れカードのソウルチャージとの相性が良いことも追い風になっています。
そして、プロルールでのバトル(お互いが黒デッキを使用した場合)は
オクトロスのパワーが上がった回数が多い方が勝つ、
という理不尽な状況が往々にして発生します。
このことからプロルールは先攻ゲーと並んで
タコゲーと称されることもあります。

 スピードのディンとプロのオクトロス、
どちらが性質が悪いかと言われれば後者であることは言うまでもありません。
スピードカスタムのオヤコダケとプロのオクトロスを比べると、
オヤコダケの落下位置が前か後ろか、オクトロスのパワーが上がるか下がるか、
という2分の1で勝負が決定づけられる点は同じですが、
オヤコダケはクリティカルな落下位置がある場合に
そこに落ちるかどうかという一瞬にすべてが掛っているのに対して、
オクトロスは場に残り続ける限りロシアンルーレットを引き続ける、
といったようにその影響の仕方が異なっています。

まとめ

 正直なところ、スピードもプロも(そしてスピードカスタムも)
方向性は違えども多分に運ゲーだと思いますが、
ここまでに述べてきたことからわかるように、
プロルールはスピードバトルと比べて(大衆的な見方をすれば)
ほとんどの領域で運の占める割合が大きなルールになっています。
ゆえに、どちらかと言えば、プロクラスの方が運ゲーと言える気がします。

 最初はスピードが運ゲーなはずあるか!と叫びたかったところだけど、
よくよく考えてみると結構深い話になっちゃいました。
時間はかけてみるもんですな。
長くなってしまったので、今回はこの辺で。