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【コラム】「ドロー5」の功罪

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ひいら 『更なる高みを目指して』 ひいら (hiera)
【コラム】「ドロー5」の功罪
 「ドロー5」は言うまでもなくカードヒーローの根幹となる1枚、
それもかなり根源的なレベルでゲームを支配しているカードです。
引けるか引けないかがここまで勝敗に影響するカードは他にありません。

 まず、カードヒーローは、一応、カードを使ったゲームです。
すべからくして、本来ルールで許されたタイミング以外でカードを引いてくる、
”ドロー系カード”は現れてきます。
しかし、すべてのカードゲームでドロー系カードが必須というわけではありません。
手札が切れる前に大半の勝負がつく場合もあるでしょうし、
1ターンに平均して1枚以下の消費しかしなければ、
毎ターンの基本ドローだけでまかなうことができます。
そういったタイプのカードゲームでは、ドロー系カードは
むしろ”選択肢の増加”という意味合いを強く帯びています。

 しかしながら、カードヒーローはそうはいきません。
手札が尽きることは選択肢の減少どころか、
圧倒的非効率な選択肢しか残されなくなるからです。
”手札不足即ち敗北”とはまさにこのこと。
その上、毎ターンのカードの消費も平均して1ターン1枚をゆうに超えています。
個人的な実感としては1ターンに平均1体のモンスターが倒されるため
1ターンにモンスターカード1枚の補給を要求されることになる上、
マジックカードを使用すれば追加的に手札が減っていきます。
ヤミーで場が硬直するといった特殊な状況でもない限り
手札は増えていくことはまずありません。

 ゆえに、カードヒーローというゲームではデッキに
ドロー系カードを入れることは必然ともいえます。
※もしカードヒーローに色の概念を取り入れるとして、
 たとえばドロー系=「青」という縛りを入れてしまうと
 青を使わないデッキは生き残れなくなってしまいます。
 これもカードヒーローに色の概念を取り入れにくい理由の一つになっています。)
さらに問題となるのが、
ドロー系カードが「ドロー5」ただ1種類しかないことです。
※ここでドロー系とは手札の枚数を増やすことができるものを指し、
 質を上げるための「でなおし(リ・シャッフル)」や「リフレッシュ」は含みません。
 「カードサーチ」も同様です。
 え?「ダロス」?あれは能力が低すぎて使い物になりません。
 使うとしても「ドロー5」を入れ切ってから考慮すべきでしょう。
一般的なカードゲームでは「カードを2枚引く。」といったように
引くことができる枚数は固定であることがほとんど。
しかし「ドロー5」は違います。「手札が5枚に不足する分だけ引く。」
枚数変動制。しかも手札が少ないときほどたくさん引けます。
確かに手札が少ない=不利なほど得をするという救済カードにはなっているのですが、
そのために他のカードゲームでは滅多に見られない怪現象が起こっています。
・「マスターチェンジ(エクスチェンジ)」の空撃ち。
・スーパーカードが邪魔だぁ~。
カードヒーロープレイヤーにとっては当たり前のことかもしれませんが、
このようなことは普通のカードゲームでは”あり得ない”ことなのです。
基本的には無駄打ちが有利に働くような状況などありえませんし、
※たとえ効果が薄くとも無駄打ちよりはマシな効果を発揮する場面がやってくるはず。
 そもそも相手は手札の枚数が多いほど警戒する。
「フエルストーン(プラストーン)」も同じようなタイミングで使われることが多く、
”相手のストーン計算を狂わせる”という真骨頂が忘れ去られている気がして残念です。
スーパーカードを引いた時の手札の圧迫感は
「ワープではなくモンスター引いたかぁ」といった
トップデック期待に対するガッカリ感だけではないものが多分に含まれています。

 何が言いたいか。それはカードの切りやすさ、とでもいいましょうか。
本来手札が減ることは不利であるはずなのに、
意図的に手札の枚数を減らすことができる能力、
それが備わっているカードの価値が上がっており、
逆に好きなタイミングで使うことができないカードの価値が下がっています。
※言い換えれば、気軽に使えるカードは「ドロー5」さえあれば
 そのカードは「カードを追加で1枚引く」というキャントリップ効果が
 ついていることに他なりません。
そのために、フィールドさえ空いていれば手札を消費できるモンスターカードや
消費ストーン1コの各マジックは単純なコスト差以上に重宝されることになります。
この点でカードヒーロー内での「回転率」とは一般的なカードゲームのそれとは
完全に意味合いが違ってきます。
回転率とは「意図的に手札の枚数を減らせる」能力のことなのです。
使い切りやすいカードを多く入れることで「ドロー5」はより輝く。
使うために厳しい条件が要求されるスーパーカードは、
ドロー5を使うという観点からは非常に非効率な存在なのです。

 最後に、これらすべての「ドロー5」の強さを支えているものは、
やはりそのポテンシャルの高さです。
たった2コのストーン消費で、手札の枚数を2枚や3枚、
時には4枚も増やしてくれるという効率性は
他のいかなるカードにも真似することができません。

 ただし、唯一注意するべき点として、
ドローする効果は手札の枚数こそ増やしてくれますが、
デッキ内全体での使用可能なカード数を増幅させているわけではないという点があります。
普通の試合の場合はデッキの30枚のうちから
多くのカードを引き出した方が有利なことは間違いないのですが、
お互いがそれら全てを引き切る場合には勝手が大きく異なり、
即ち山札切れを狙い合う場合には有効に働かないこともあるということです。
これはドロー系全般に言えることなのですが、
カードヒーロー唯一のドローカードである「ドロー5」に対しての
警鐘としても概ね間違いはないと考え、付しておきます。

 さて、今回はいかがでしたでしょうか。
カードヒーローをカードヒーローたらしめているドロー5について、
より深いが得られたならば幸いです。